平生基地航行艦襲撃訓練航跡
~そんな穏やかな雰囲気だった平生基地でも、訓練自体は厳しかったのでしょうか?~
(山本)
訓練は、それは必死です。
そんな何も考えている暇なんかないです。
自分の命に関わることですから、言われなくても必死です。
岩にぶつかったり、沈没して海底にぶつかったり、襲撃目標にぶつかったりして、それはもう真剣にならざるを得ませんでした。
(中川)
回天に乗りましてね、むしろその後、夜、研究会というのがあってその日の報告をしたり、意見を言ったりして、回天に乗るのは苦しくはないけど、後の研究会の方が恐かったですね。
~回天に乗ることは面白かったのですか?~
(全員)
面白いと言うより、夢中でした。
とにかく夢中でした。
(山本)
訓練で乗るのは選抜された優秀な人ですから、みんなは羨望していました。
でも、失敗しようものなら、帰って来たときに偉い人たちが並んでいて、殴ったりして…。
(林)
訓練中のことで、こんな話もあります。
平生回天会副会長の藤田さんが残された記録によると、訓練で駆逐艦から回天を発射させたときのこと。
同乗者と二人で乗っていて、誤って、水中5mくらいで長島の端に回天をぶつけてしまいました。
損傷して水が中に入ってきて、ハッチは水圧で中から開けることがでません。でも、水がたくさん入ったとき、回天の外と中が同じ水圧になって、ハッチが開き、助かったそうです。